自治会に入りたくない? 加入するメリットとデメリット

自治会に入るメリットとデメリ
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「自治会に入りたくない」という主旨の発言を、ユーザー同士の掲示板で繰り返し見かける。そんなとき、真っ先に返ってくる答えは
「自治会・町内会は強制ではありません。入りたくないなら、入らなければいいのです」
だ。
しかしそんな単純なことなのか?
子どもがいなければメリットがないから入らなくてもいい?
入らないことのデメリットは何か?
わざわざネットで「自治会、入りたくない」などと表明する人は、入らないことによる不利益がよく読めず、自治会に入らないことに、なんとなくうしろめたさを感じているではなかろうか?

自治会の役割

自治会の役割としてよくあげられるのは、

  1. 快適な生活環境の維持 -- ゴミの収集施設の管理など
  2. 住民同士の親睦 -- 地域のお祭りなどの開催など
  3. 地域の防犯 -- 街灯路の維持管理など
  4. 福祉 -- 共同募金の集金など
  5. 広報 -- 自治会内のお知らせや自治体の広報紙の配布

だ。
1番のゴミの収集施設の管理を除けば、さしあたり、自分の生活には直結しないと考える人もいるだろう。
もし、自治会に入らず、ゴミ収集施設の管理等の負担を負わず、ゴミを出すのであれば、やはりフリーライダー(タダ乗り)のそしりは免れまい。
だからといって、自治会が、自治会に入らない人にはミ収集施設へのゴミ出しを禁じたら、確実にトラブルになる。
そのため、都市部ではゴミの軒下収集に変わってきているようだ。
しかしマンションなどの集合住宅の場合、軒下収集というわけにはいかず、やはり地域にゴミ収集施設を設ける必要が生じる。そしてゴミ収集施設を設ければ、当然、そこを管理する必要が出てくる。

さて、1のゴミ収集を含めて、1~5まですべてが本来、自治体の役割であり、自治会が下請けさせられるのはおかしいという人がいる。
たしかに自治体の役割ともいえるが、自治体だけに任せておいていいのだろうか?
自治体がやるのであれば、効率が悪いうえに、それほど成果は上がらないのではないか?

たとえば、共同募金を公務員が集金しにきたら、どうだろう?
税金の取立てではあるまいし、払いたいという気になる人はいないだろう。
もしこれが顔見知りの自治会の役員さんならどうだろう。
せっかくご近所で活動されているのだからと、少しは協力しなければと思うのではないだろうか。

ここに自治会の一つの姿がある。すなわち、近所同士のつながり =「地縁」だ。

自治会の歴史

「地縁」ということでいうなら、農耕民族であった私たちの先祖は太古の昔から、共同で稲刈りするなど、お互いに助け合う地域コミュニティをもっていた。
一人では成しえないことをコミュニティで助け合えばできる。コミュニティには力があり、その力の源泉は結束力だった。
政治が、地域コミュニティのもつ力と結束力に目を付け、公然と利用するようになったのが、戦時中の「町内会」である。
GHQは「町内会」が末端の戦争遂行機関であったとし、解体した。が、まもなく、名称を変えて復活する。
コミュニティはもともと国の出先機関ではなく、地域が助け合わなければやっていけないという必要に応じて発生したものだったから、助け合う必要性がなくならない限り、復活するのは道理だった。
もちろん、復活した自治会には戦時中の「町内会」のように強制加入させる権限はない。それでも自治会・町内会の数は全国で30万にのぼり、1990年代には平均加入率70%を誇っていた。
先の「自治会、入りたくない」人の記憶の底には、この時期の自治会の圧倒的な結束力のイメージが残っているのかもしれない。だから自分だけ入らないことにうしろめたさを感じてしまうのだろう。

ところで、この30万の自治会・町内会がみなこぞって自治体の下請けに甘んじていたのだろうか?
下請けをする場面もあったが、その逆に自治体に要求を出す場面も結構あった。
例えば、街灯路の設置。自治体に任せていたのではいつまでたっても設置の予算はとれない。しかし自治会でまとまって要望したら、予算は通りやすい。そして設置後の街路灯の維持管理は自治会が請け負うという構図だ。
自治体と自治会・町内会は持ちつ持たれつの関係なのである。
その自治会も、今では加入率が20%までに低下した。しかしこの話はまた別の折にしよう。

自治会の底力

自治会の歴史をふりかえってみて、自治会の本来の姿が見えてきたのではないだろうか?
自治会とは、地域に根差したコミュニティなのだ。他のコミュニティで代用することはできない。
たとえば、ネット上のコミュニティでは気の合う人と親睦を深めることはできても、近くのゴミ収集施設を管理できない。防犯活動もできない。
自治会に入るということは、地域のコミュニティに参加する一つの手段なのだ。もちろん、地域のコミュニティなら自治会以外にもあるだろう。
だが、自治会は地域のコミュニティとして底力をもっている。
自治会の底力が際立つのは災害時である。

筆者は、阪神大震災後の被災地をボランティアとして体験した。
震災直後、同じような被害を受けた地域でも、震災前から自治会活動が盛んだった地域とそうでない地域とでは、復興のスピードに大きな差が生じた。
自治会活動が盛んだった地域では、コミュニティとしてまとまりやすく、マンションの建て替えか、修復かのむずかしい議論も早い段階で始めることができ、結論を出すのも早かった。
お互いがお互いの痛みを理解し、歩み寄れたからだ。

同じようなことは他の被災地でも起きた。
2016年末に発生した糸魚川大規模火災では、約40万m2が焼け、144棟の建物が焼失する大火で、負傷者16人を出したものの、幸いにも死者はなった。これは市や消防の迅速な避難勧告に加え、日頃から自治会活動してきた糸魚川の住民が、災害時にも助け合ったからとメディアは伝えた。

日頃の助け合いが、非常時に力となるのである。

自治会に入らないことによるデメリット

自治会に入らないと、災害時に助けてもらえないのか?
もちろん、そんなことはない。
避難所に行けば、自治会に入っていようがいないが、関係なく支援物資を受け取れる。
ただ、そうしたわかりやすい支援は受けられるが、もっと立ち入った場面で支援を必要とするとき、これまであいさつ一つしなかった人に頼めない。
逆に支援する側に立ったとき、全く交流のなかった人に対して、何を支援すればいいかわからない。たとえ、支援したいという善意を示したとしても、容易には心を開いてくれない。
あなたは誰かを助けることができ、助けたいと強く願っても、あなたは必要とされないだろう。

自治会に入るということは、地域のコミュニティに参加するということだ。
それは負担を背負い、余計なトラブルに巻き込まれるということでもあるかもしれない。
しかしそうしたことを引き受け、コミュニティの一員として生活してきたという実績があれば、地域が危機に瀕したとき、コミュニティがあなたに力を与えるだろう。

まとめ

あえて、自治会に入ることによるメリットを挙げるなら、非常時に、あなたは地域コミュニティの助けを期待できるということだ。そしてそれ以上に、あなた自身、誰かを助けることができる。あなたはいちばん大事なときに、必要とされる。

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