工事説明会の動画配信を提案してみた

工事説明会を動画で配信
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私が住んでいるマンションは440戸のマンションで、来月、給排水管の大規模修繕工事が行われる。
その工事に向けて前年から何度も説明会が開かれ、総会でも議決されたのだが、母親たちに訊くと、全く知らなかったりする。
工事には断水、排水規制の他に、通行止めもあり、子どもの通学路にも影響が出るのだ。しかも工事は8か月間続く。
「えっ! 8か月も」
母親たちは一様に驚くが、私の方がもっと驚いている。マンションにいる時間が長い、女・子どもにこそ、工事の情報を伝えなければならないのに。
無論、大規模修繕委員会は手をこまねいていたわけではなく、工事の前に、劣化診断をし、アンケートを取り、それらの結果を報告書にまとめ、全戸配布した。だが、何せ規模が大きい。世帯人数が2.5人としたら、約1100人が住んでいる計算になる。
資料を全戸に配っても、世帯主しか読まず、その内容を家族に話さなければ、住民の半数以上は、工事のことを何も知らないまま、工事に突入することになる。

じつは報告書は読めばわかるという内容ではなく、やはり説明を聞いてようやくわかった気になるというくらいのものだ。しかもその説明会の参加者は全戸数の約6割だった。
大規模修繕委員の端くれの私は危機感を覚えた。

工事説明会の動画をネットで限定公開することを提案してみた

だから、近く行われる工事説明会に関しては、ビデオ撮影をして、YouTube で限定公開をしたらどうかと提案した。
費用はどうする?
今回は、私が撮影・編集・YouTube アップまですべてボランティアで行います。
機材もスキルも経験もあります。
そう言おうと準備していた。
ところが、話がそこまで行く前に粉砕した。

「高齢者が多いのに、無理よ」
「みんなが動画を見なければならないのではなく、説明会に来れない人、来ない人のために、説明会を録画するのです」
「よその業者が見て、営業に来る」
「限定公開なので、検索対象からも外れます。アドレスを知らない人が見ることはありません」
「それでも、住民がアドレスを教えたら、見れるじゃない」
「・・・」
(それを言ったら、工事資料を住民がヨソの業者にリークする危険も同じでしょう。ネットだからとくに危険とは言えないのに・・・。)

議長が見かねてこういって議論を収めた。
「将来、ネットが主流になり、総会すら、ネット投票ということになるかもしれない。しかしこのマンションではまだその時期ではない。」

情報伝達技術が紙からインターネットへと進化していくわけではない。
そもそもインターネットの活用が、紙伝達やリアルな説明会よりも優れているわけでもない。
紙による伝達やリアルな説明会の方がいい場合さえある。
とはいえ、日本ではインターネットの普及率が83%に上り、多数の人がインターネットを活用している。その事実を踏まえれば、現状、紙媒体やリアルな説明会ではリーチできていない人々に向けて、ネットでもなんでも使って、情報を届ける努力をしよう!
そう主張したのだったが、受け入れられなかった。

サイバーフォビア

今回、工事説明会の動画配信を阻んだのは、サイバーフォビアであったと思う。
サイバーフォビアcyberphobia。日本語ではコンピュータ恐怖症と訳されることもある。要するに、コンピューターやインターネットなどのテクノロジーに対して恐怖心を抱いたり、むやみに嫌悪したりする態度を指す。
しかし冷静に考えてみれば、おかしな話だ。
ネット利用者向けに、ネットを使って情報発信することを、自分はインターネットが嫌いだからといって、否定することはない。
ネットが嫌いなら、自分が利用しなければいいだけであって、人がネットを利用するのまでとやかく言うことはない。
ところがそうはいかないのが、サイバーフォビアなのである。
サイバーフォビアは一般に、自分はインターネットが嫌いだという感情に自分自身が振り回され、他人の選択の自由を侵害している。
さらにまずいことに、今日、インターネットを使う人はエラい人/使えない人はダメな人という誤解が蔓延している。
このため、サイバーフォビアの中では、「ネットを使えないくらいで、バカにしやがって!」というルサンチマンが渦巻いているだ。

サイバーフォビアが思い描く未来

議長はけしてサイバーフォビアではないが、彼の発言は、サイバーフォビアが恐れる未来だったのではあるまいか。

つまり、将来、何でもインターネット時代が来る。すべてのことをインターネットで処理することになるため、そしてそれについていけない人は排除される、と。

しかし、そんな時代は来ない。
いつの時代もインターネットをしない人はいるし、そういう人にも対応しなければ、コミュニケーションは成り立たないからだ。
この話は次回、書こう。

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