修繕費が足りない! マンション管理組合の2割が金策に奔走

修繕費が足りない!管理組合の2割が金策に奔走
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マンションの管理組合のもっとも重要な使命は、大規模修繕に備えて、毎月、居住者から修繕費を集めて積み立てておくことである。
そしてたいていのマンションでは、入居当初から修繕費を積み立てている。にもかかわらず、いざ、大規模修繕となったとき、修繕費が足りないことが発覚し、あわてて一時金を徴収したり、金融機関に借り入れに走ったり、ということが生じる。

管理組合の2割が修繕費不足に直面

なぜ、こんなことになるのか?
マンション販売会社が購入価格を安く見せるために、入居当初の修繕積立金を安く抑えるからだ。入居数年後から徐々に修繕積立金を上げていくとしても、大規模修繕費を賄うのに十分積み上げられないこともある。すべての居住者が上がり続ける修繕積立金をどこまでも払えるわけではないからだ。ある地点を超えると、不満が高まり、滞納者が現われたり、修繕積立金の引き上げが否決されたりする。その結果、上述したように、管理組合は工事費調達に翻弄される羽目になるのである。

国土交通省のマンション総合調査によると、平成20年度は、不明を除いた1,127のマンションのうち、修繕積立金だけで工事費を賄えたのは886、全体の78.6%である。平成25年度では、修繕積立金だけで工事費を賄えたのは80.0%と向上している。しかし依然として、20%のマンションは、一時徴収金、公的金融や民間金融からの借り入れ、その他で工事費をかき集め、なんとか大規模修繕をしのいだ。

借入金への依存

とくに問題なのは金融機関からの借入金である。
下記の円グラフは借入金の工事費に占める割合を平成20年度と平成25年度で比較した。

民間金融借入金
民間金融では、借入金が41%以上の割合は 46%→33% に減ってはいるものの、その分、21~40%の借入の割合が 32%→48% に大幅に増加している。
公的金融借入金
公的金融となると、減少しているのは61%以上 (37%→32%) にシフトし、41~60%は 23%→27% に増えている。しかも調達手段全体の一時徴収金の割合は 4%→3% に減っている一方で、公的金融からの借入件数の割合は 6%→8% に伸びている。

言うまでもなく、マンションの「大規模修繕」は1回で終わるわけではなく、何度か繰り返され、さらに「建て替え」という止めが刺さる。
だから、修繕積立金はいつも少し多めに徴収し、大規模修繕が終わるたびに、残金を次の工事の原資にしていかなければならない。にもかかわらず、借り入れなどしていたら、次の工事用の修繕積立金すら、借金の返済に消えてしまう。
公的機関なら借入に有利かもしれないが、それにしても本来、区分所有者が負担すべき大規模修繕の費用を借入金に頼るのは危険ではないか?

初回の大規模修繕からすでに借金づけ

しかも、日経ビジネスの松浦 龍夫記者によると、

同機構(=住宅金融支援機構)が借金をするマンションの築年数を調べたところ、築15年以下のマンションの割合が年々増えていることが分かった。2010年度には16%だったのが2015年度は28%まで増えている。大規模修繕は竣工後、12年ほどの周期で実施するので、借金をする管理組合の約3割が初回から資金が不足していることになる。

松浦 龍夫 「え! マンションの大規模修繕に借金までする?」

という。
初回の大規模修繕からすでに借入金に依存しているから、回が重なるたびに、借入金への依存がいやましに高まるだろう。そしてついには融資も受けられなくなるかもしれない。

どうしたらいいのか

国土交通省がいうように、最初から修繕積立金を適正な額に設定し、毎月定額を積み上げていくべきである。
こうしておけば、仮に工事費が値上がりしたとしても、不足分を補填するのはそれほどむずかしくはないはずだ。
では、"適正な額"とはどうやって見積もればいいのか?

国交省は、平成23年(2011年)に「マンションの修繕積立金に関するガイドライン」を示した。
このガイドラインは「区分所有者が自ら居住する住居専用の単棟型のマンションを対象」とし、「新築時から30年間に必要な修繕工事費の総額を当該期間で均等に積み立てる方式(均等積立方式)による月額」を示している。
そして「新築マンションの購入予定者に対し、修繕積立金に関する基本的な知識や、修繕積立金の額の目安を示し、分譲事業者から提示された修繕積立金の額の水準等についての判断材料」としている。
既存のマンションの修繕積立金の判定にはあまり適さないが、現在の積立金額が"本来のあるべき積立金額"とどれほど近いのか離れているのか、考えるポイントにはなるだろう。
算出式を元にプログラムを書き、無料のWebツールとして公開するので、利用してほしい。

新築マンション購入者向け 修繕積立金判定ツール

まとめ

マンションの大規模修繕に向け、修繕積立金を毎月徴収しているにもかかわらず、修繕費が足りないという事態に、約2割の管理組合が直面する。そして不足分を金融機関からの借入金で補おうと事例も珍しくない。しかも、初回の大規模修繕工事からすでに借入金に依存する傾向がある。これは危険である。適正な修繕積立金の額を算出し、毎月定額を積み上げていく必要がある。

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